砂漠

手のひらに置いた形見

じっと見つめていたいのに

僕の目が瞬きさえも拒もうとする。


細かく数え切れないほどの砂が

宙を舞い、手のひらをぼやかせ

「目に毒ですよ」と耳元にささやいてきた。

僕は言葉に屈してしまった。


まぶたを閉じた真っ暗な世界には

どこをみても砂と岩だけの砂漠と

そこから抜け出せない自分への絶望。


でも誰なんだろう。

乾ききってしまいそうな僕の心を潤そうとする誰かが

僕に一滴の涙を流させた。

そして開いた目の前には形にならない無数の、粒のような思い出。

虚空に飛んでいく、大切な僕の記憶。


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By GloomyWind 2003/3/20
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